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コーエン兄弟の作品だといわれなければ、気づかずに見てしまうようなそんな普通な映画である。離婚弁護士という題材も、ロサンゼルスのセレブを描くという対象も、ハリウッド映画になんともありきたりで、しかもジョージ・クルーニーとキャサリン・ゼタ・ジョーンズという普通のスターが2枚看板で主役を張る。この材料なら別にコーエン兄弟でなくても撮れるだろうし、実際撮ってみたら、この作品とそれほど遜色のない作品が出来るに違いないと思う。 それでもやはり、コーエン兄弟らしさが出るのは『オー!ブラザー』に続いて組むことになったジョージ・クルーニーの扱い方だろう。ジョージ・クルーニーは少々3枚目のところもあるが基本的には2枚目の役という役どころにはまることが多く、この作品も基本的にはその路線を崩していない。しかし、コーエン兄弟はこのジョージ・クルーニーの情けなさを存分にスクリーンに描き出す。実はクルーニーというのは情けない男をやらせたら抜群にうまい役者だと私は思う。ジョージ・クルーニーが世に出たのはなんと言ってもTVドラマ『ER』だが、この作品でもクルーニーは2枚目だけれど、どこか情けない男を演じていた。コーエン兄弟はそのジョージ・クルーニーの情けなさをうまく使う。エピソードとして情けないエピソードを使うのではなく、彼のマヌケ面を捉えて、直接的に情けなさをアピールするのだ。その使い方が他の監督にはない独特の使い方だと思う。
それも含めてやはりコーエン兄弟の作品は映像が独特である。この作品はそれほど突飛という感じはしないが、やはりどこかおかしいという感じはする。余りおかしさを感じなくなってきたのは、コーエン兄弟がハリウッドに合わせるようになってきたのか、それともハリウッド全体がコーエン兄弟っぽくなってきたのか。そんな風に思うくらいにコーエン兄弟はハリウッドに溶け込んでしまった。
さて、映画の内容だが、内容ははっきり言って無いに等しい。「離婚太り」と呼ばれる、離婚によって金持ちになって行く女性を描き、その弁護士を描く。これがいったい何になるのか。一歩進めば結婚とは一体何なんだとか、愛とはいったい何なんだという問題になり、この主人公のマイルズはなんとなく、その問題に踏み込んでいるようにも見えるのだが、その展開はあまりにありきたりで、メグ・ライアンが主役のラブコメとちっとも変わらない。それでは何も言っていないに等しい。
どんでん返しというか、騙しあいの部分はさすがになかなか面白いけれど、どうも結末が今ひとつぱっとしないので、映画が終わって振り返ってみると、全体的な印象は薄い。
それなりの笑いを振りまいて、展開でそれなりに観客をひきつけて、それなりにオリジナリティを出して、しかし押しなべて見れば普通の作品という、なんだか地味な作品だった。
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