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この話はとてもややこしい。フィリップ・マーローは名探偵だから、飲み込みがとても早く、あっという間に事件を理解してしまうのだが、凡人である観客にはなかなか事件の全体像がつかめない。つかめないままどんどん展開して行き、最後にはなんとなくわかるのだが、細かい部分まで組み立ててみようとすると、どうもわからない部分が出てきてしまうのだ。
この作品には公開されたバージョンである1946年版以外にオリジナルの1945年版というのがある。これはいくつかのシーンがリテイクされ、再編集されたものなのだが、その理由はローレン・バコールのためだったらしい。ローレン・バコールはこの『三つ数えろ』がデビュー作だったのだが、公開延期の影響で、あとで撮った『脱出』と『密使』が先に公開された。その作品でのバコールの評判が芳しくなかったために、『三つ数えろ』を再編集し、バコールの汚名返上を狙うという意図があったらしい。
その意図はともかくとして、この45年版には、46年版ではカットされた検事との話し合いのシーンというのがある。そこではマーローとバーニー(刑事)と検事と警部補が集まって事件の付いて話し合うのだが、このシーンがあれば事件の全体像がかなりよく見えてくる。
このシーンがカットされたことによって事件の全体像がわかりにくくなってしまったように私には思えるが、それ以外のカットされたシーンも合わせて考えると、この再編集によってローレン・バコールが映えると同時に作品全体がスピードアップし、めまぐるしい展開が観客を強く作品に引き込む効果を生んでいるように思える。
単に私の理解力が足りないだけかもしれないけれど、映画としてはどうかなと思う。物語自体は非常に面白いし、この複雑さも好きなのだけれど、どうも2時間という映画の時間では処理しきれていない感じがする。この見終わってももやもやという感じが逆に原作を読みたいという気を起こさせる。原作を読んでから見たら、話がよくわかって映画の細かい部分を味わうことが出来るのではないだろうか。
フィリップ・マーローものはいくつも映画化されているし、マーローを演じている役者もいろいろなので、見比べてみるのも面白いかもしれない。
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