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フランク・オズとスティーヴ・マーティンは『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ですでに一度組んで、両者にとって出世作となった。この作品はそれから2年後、スティーヴ・マーティンはまさに喜劇役者として名優になろうとステップアップしているところだった。そんなスティーヴ・マーティンが組んだのがマイケル・ケインである。もちろんマイケル・ケインはシリアス俳優、86年には『ハンナとその姉妹』でアカデミー助演男優賞も獲得している。そのマイケル・ケインをこんな典型的なコメディに出演させて、売り出し中のスティーヴ・マーティンの相棒に据えるというこのキャスティングだけでこの映画はすでに成功したも同然だ。
この作品の元ネタとなった『寝室ものがたり』ではこの2人をマーロン・ブランドとデヴィッド・ニーヴンが演じている。名優といいうる2人が演じて初めてサギ師同士の“コン・ゲーム”に説得力が出てくるのだろう。
しかし、映画の内容としては他愛もないコメディ。テンポよく話が進んで行き、最後まで気持ちよく行く。だましだまされのサギ師が主人公だから、観客もどこにトリックが仕掛けられているのか、それぞれのトリックはどのような首尾で進んで行くのかという過程に注目して行くうちにどんどん映画が進んで行ってしまうという感じだ。
そう練られたプロットでもないので、映画がどのように展開して行くかというのはだいたい読めるわけだけれど、それがわかってしまうということによって映画が面白くなくなってしまうというわけではなく、予想は出来ながらも細かい部分では観客を裏切ったり、まったく予想できないことが起こったりという展開がある。それにどれくらい自分の“読み”が当たっているかというのもこのような映画が楽しめるひとつの要素であるのだ。
この映画は一応コメディということになっているが、声を出して笑うようなところはほとんどないと言ってもいい。せいぜいスティーヴ・マーティンのおかしな行動や皮肉などがおかしいくらいで、大爆笑のギャグなんかは皆無である。しかし、この映画を見ているとなんだかニヤニヤしてしまう。それはだまされた人の間抜けさに対する笑い、そしてだましているつもりの人がまただまされるという予感に対する笑いなのかもしれない。
私はこういうなんでもないコメディがすごく好きだ。バカバカしいドタバタコメディも面白いことは確かだが、繰り返し見たくなるのはこんな風になんでもないおかしさ、ゆったりとした幸せに満ちた映画なのではないかと思う。
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