|
ひとりの人あるいはひとつのものをめぐって利害関係の異なるいくつかのグループが争うというのは、コメディとしては王道というかよくあるプロットの作り方である。この映画もJBのそっくりさんをめぐってヤクザと、イベント会社と、政府筋が三つ巴の争いを展開するということで、まったく見事にそのパターンにはまっている。なので、それなりに展開としては面白いわけだが、常盤貴子演じる女社長のイベント会社以外はその理由がいまひとつはっきりとしていないという気がしてしまう。
特に、内閣調査室の狙いというのは映画の上で隠されていて、それが何か重要な意味を持っているかのようであるのに、その内容が明らかになって行く過程はまったくドラマティックでもなく、笑えもしない。それに、どうしてそれがアメリカにあり、JBのそっくりさんの手に渡ったのかはまったく明らかにされない。そんな重要なものならもっと簡単で安全な輸送方法があるだろうのに。それにこのディジタル時代にそんなネタは…
というわけで、この内閣調査室という脚本のスパイスがどうも今ひとつ映画の全体にフィットしていないような気がした。第3のグループは必要だから、何かは必要なのだが、これはちょっと…
ギャグはそれなりに面白い。大爆笑の連続というわけでは決してないけれど、西田敏行とトカゲのシーンや、常盤貴子と山本太郎の掛け合いなどはそれなりに面白い。それに要所要所で登場するゲスト出演者という感じの豪華出演陣も笑いを振りまいてくれる。いちばん面白かったのは西田敏行がJBの曲を歌うときの字幕が関西弁だったということだろうか。ここは個人的にかなり面白かった。外国語に対してどのような日本語を当てるのかというのは翻訳の上で非常に重要な問題だが、歌の歌詞に関西弁をあてるなんてのは(南部訛に東北弁を当てるなんていう陳腐なやり方と違って)かなり格好いいし面白いやり方だと思ったのだ。 しかし、全体的には関西弁での会話に今ひとつスピード感がなく、それが映画のスピード感と観客を巻き込んで行く力をそいでしまったような感じもする。そのせいで笑えるはずのギャグもどんどん滑っていき、今ひとつ「笑った」という印象が生まれなかったのではないかと思う。
値段をつけるなら、250円かな。
|