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鈴木清順といえば、独特の映像美。この映画も当然そうなる。映画は冒頭から、書割の背景に舞台のようなセット、この上で普通に歌を歌うのだから、まるで舞台を収録したようにしか見えない。そのあたりの演出の真意がどこにあるのかなどということはもちろん誰にもわからないことなのだが、とりあえずいえるのはこの作品はとてつもなく作り物じみている作品だということだ。さしもの清順も今までの作品では基本的にはれっきとしたドラマの形を取り、そこに作り物っぽさを加えていたわけだが、この作品はまず作り物っぽさありきである。逆にそこに唐突に自然な映像が挿入されると違和感を感じてしまう。
まあ、この作品がまずオペレッタであるというところから、作り物であるという運命を逃れることは出来ないわけで、鈴木清順がこの「狸御殿」シリーズをよみがえらせると決めた時点で、その作品が徹底的に作り物じみた作品になることは予想が出来たに違いない。それでも、おもしろく、楽しければ文句はないのだ。映画などリアルだろうとリアルじゃなかろうと面白ければいい。鈴木清順の姿勢は昔からそのようなものだったから、ある意味では一貫しているということが出来る。
さて、それではこの作品は面白く、楽しいのか。普通に見ると、最初は戸惑うが、意外にすんなりとその作品世界に入り込んで行くことが出来る。それはまず由紀さおりが演じるびるぜん婆々の面白さがあると思う。かなりディフォルメされた容姿もさることながら、さすがにうまい歌、さらにはラップ、このびるぜん婆々を見ていればとりあえず飽きない。しかし、このびるぜん婆々は意外にあっさりと死んでしまう。その先は少し面白みが減り、私は退屈してしまった。びるぜん婆々に対抗するキャラクターであるはずの薬師丸ひろ子演じるお萩では少し弱く、むしろ腰元4人衆(きなこ、もなか、かのこ、すあま)のほうが面白い。
この腰元4人衆、実は強力なキャラクター。きなこを演じる尾上紫は尾上流の日本舞踏家で女優、もなかを演じる椎名法子はCMなどで活躍するアイドル(多分アキバ系に人気)、すあまを演じる浦嶋りんこは以前ドリカムの吉田美和と“FUNK
THE PEANUTS”というデュオもやっていたボーカリスト、かのこの下石奈緒美はわからないけれど、この4人のキャラクターの強さと微妙なバランスがなかなか面白い。
そんな面白さがこの映画にはあるのだが、やはりちょっと後半は退屈する。はっきり言って物語などどうでもいいのに、物語の展開に映画の重点を置きすぎるからだ。物語なんてうっちゃっておいて、もっとハチェメチャになっていたら、それはそれで面白くなると思うのだが。
そのような意味では、チャン・ツィイーの必然のなさは意外といい。なぜ日本語が片言なのか、一応そこには説明がつくのだけれど、そんな説明はもちろんどうでもいいわけで、やはりどうして中国人なのかは意味がわからない。でも、意味がわからないからいいわけで、だから多分チャン・ツィイーはいい。
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