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時代は80年代の終わり、周防正行にとっては始めての本格的な一般映画の監督作品である。主演の本木雅弘のいたしぶがき隊の解散はこの作品が公開された前年の88年、本木雅弘にとっても本格的な初主演映画である。鈴木保奈美もアイドル女優として確実に成長して行ったところで、主役級での映画出演は初めて。
つまり、この映画は原作漫画の人気と本木雅弘というアイドルを看板に、若い才能を試したという作品と見ることが出来るようだ。脇役やチョイ役でも当時人気があったり、今はもう実力者になったりしている役者なりアーティストなりが出演していて、そのあたりの話題性も、まだまだ浮かれていたこの時代の日本で映画がヒットするためには重要だったのではないかと思う。
というわけで、純粋に映画としてどうこうという以前に、話題性とか時代性というものに話が行ってしまうわけだが、それでもやはり作られて15年以上たった今、あるいはもっと未来に見るということを考えるならば、そのような話題性やら何やらを取り除いた純粋な映画としてどうなのかということもやはり見ていかなければならない。
まずこの映画は、原作のおかげではあるが発想としては非常に面白い。映画の題材などというものは結構バリエーションが限られていて、なかなか突飛な題材というのには出会いにくいものだが、この作品が扱った修行僧という題材はかなり面白い。しかも、真面目に扱うのではなく、コメディとして扱う、その発想はかなり面白いのではないか。大概の人が坊主なんて生臭で修行なんてたいしてしちゃぁいないんだろうと思う中で、(これが事実にどれほど忠実なのかはわからないが)このようにして修行僧が仏教というものとそして現実社会とどのように向き合っているのかというのは好奇心をそそる題材である。その題材だけでこの映画はもうつまらなくはならないという感じだが、実際のところその好奇心を満たす以上にこの映画が何かを伝えてくるということはない。80年代らしい軽さと言ってしまうと語弊があるかもしれないが、なんともさらっと流れて行ってしまう感じだ。つまらなくはないけれど、さして面白くもない。物語やメッセージにぐっとひきつけられるなんてことはまずない。
そんな軽い映画ではあるけれど、あるいはだからこそ、この映画は面白い。そこに周防正行が大物になり行く片鱗が見えるのだと思うのだが、この作品がコメディとして成立するための様々な仕掛けが面白いのだ。どうってことない話に、エピソード的、あるいは映像的な面白みを加える。それもどうってことないと言えばどうってことないのだが、その面白さという魅力は観客を惹きつけるに足るのだ。
私がいちばん気に入ったのは田口浩正演じる珍来の羊羹一気食いだ。トイレで隠れて羊羹を食べるのだが、これを本当に丸かじりして、一気食いする。そのビジュアルのインパクトはものすごい。他にもそんな小ネタはたくさんある。それによってこの作品は愛すべき小片となる。モックンがもうアイドルではなくなっても、この映画には観られる価値があると思う。
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