ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツのスケジュールが合わなかったせいではないと思うが、2人が絡むシーンが驚くほど少ない。愛し合う2人が離れ離れということなら美しいラブ・ストーリーになるわけだが、この2人の関係はなんとも微妙で、再会もまったくアンチ・クライマックスである。ということなので、物語自体とは関係ないところにバラバラになる理由があるのではないかと邪推してしまうわけだが、まあどうでもいいといえばどうでもいい。
ばらばらになった2つのプロットのうち、面白いのはジュリア・ロバーツのパートのほうである。リロイという殺し屋とジュリア・ロバーツ演じるサムの関係、その関係は犯人と人質の関係という王道な話になっていて、ありきたりといえばありきたりなのだが、それでも面白くなるというのが、ジュリア・ロバーツという役者の魅力なのかもしれないなどと思ってみる。
他方、ブラッド・ピットの方のパートは今ひとつさえない。主役であるブラッド・ピット演じるジェリーのキャラクターがどうも弱いというのが最大の原因だと思うが、ジェリーは主役であるにもかかわらず自分で物語を動かしていく存在ではないのである。彼はメキシコという異国でただ呆然としているだけで、次々と起こる事態に何とか対応しているだけなのだ。実際に何が起こっているのかも把握できていないので、どうもただの間抜けに見えてしまう。ブラッド・ピットは間抜けキャラも案外似合うと思うのだが、ここではその間抜け加減が今ひとつ生かされていなくて、主役の無い物語の駒のひとつに成り下がってしまった感がある。
映画としてはブラッド・ピットのパートのほうが主プロットになると思うので、全体的にまとまりの無い印象になる。なので、スターを2人も使ってこれかよという印象になってしまうわけだが、逆にスターを2人使ってしまったからこんなになってしまったんだろうと思う。この監督ゴア・ヴァービンスキーは最近では『パイレーツ・オブ・カリビアン』を撮っている。それを見たうえで考えると、この人はサブプロットのほうに類まれな才能を発揮するのではないかと思うのだ。『パイレーツ…』でも光っていたのはサブ・プロットを担っていたジョニー・デップだった。サブ・プロットを担っていたはずのジョニー・デップが結果的に主役となって、オーランド・ブルームは脇に追いやられる。そのことによって映画全体が面白くなったという気がする。
この映画も、最終的に完全にジュリア・ロバーツが主役になるように、仕組んで相方はもうちょっと落としてブレンダン・フレイザーあたりにしておけば、これがコメディであることも判りやすくなったしよかったのではないかと思います。
スター頼みで興行をあげようとあせったドリームワークスのプロダクションの失敗だと私は思います。
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