| タイトルが『えびボクサー』ってくらいだから、とにかくえびボクサーが大暴れするのかと思うと、そういうわけではない。えびボクサーは主役ではなく、あくまでもえびボクサーのオーナー(?)であるビルが主役。えびボクサーのボクシングがモチーフなのではなく、ビルがエビを売り込むという話が物語の中心である。そんな中で、ビルとエビとスティーヴとスティーヴのガールフレンドのシャズのあいだにすったもんだがあるという話である。 話としては別にたいしたことはない。落ちぶれた中年男が一旗上げようとするというのはブリティッシュ・コメディのひとつの典型的な形で、この映画もその典型をきれいになぞっているわけだ。
なので、どうしても注目はエビに行ってしまう。とにかく巨大なエビ。名称もエビだからエビなんだろうけれど、どう見てもシャコである。実際のビデオの段階でシャコっぽかったから、張りぼてのつくりの問題ではないと思うのだが、とにかくエビらしさはない。そして迫力もない。とにかくいつも縛られているのだから迫力があるわけもないのだが、これが人間と対決するといわれても、確かにちょっとどうだろう… と思ってしまうのもうなずける。
しかし、逆にこのエビ、妙に愛嬌がある。そもそもがただのエビで、人間に対して敵意を持っているわけではなく、だれかれかまわず襲うというわけではないので、「にっくき怪物」と思うというのはなかなか難しい。そのあたりがこの映画のいい面でもあり、悪い面でもある。いい面としては、主人公であるビルに共感できるということだが、悪い面としてはなんとも話がずるずるになってしまうということである。エビに注目してみてたのに、いったい何なんじゃ! と言いたくなるような展開なのだ。
これがイギリス人のペーソスとかウィットというものなのか、バカなものを徹底的にバカなものにすることができないところに、大英帝国の誇りというものを感じてしまうというのは、考えすぎだと思うが、せっかくのバカ素材を生かしきれないのはもったいなかったと思う。
バカ映画だと思ってみると、肩透かしを食らわされる。ブリティッシュ・コメディとしてみればまあそれなりに観れる。ヒューマンドラマとしてみると… という感じ。
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