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座頭市兇状旅

2004/1/28
1963年,日本,84分

 
            
     
 
 座頭市は旅の途中で素人相撲大会に出くわし、参加してまんまと勝ち抜いてしまった。それで上機嫌になった座頭市に刺客が… しかしその刺客はたやすく座頭市に斬られてしまう。聞けば座頭市の首には十両の賞金がかかっていて、それをおっかさんにやりたかったのだという。座頭市はその斬ってしまった男のおっかさんを探して下仁田の宿場にやってきたが、そこには周辺の親分集が集まっていた…
 前作までの因縁を引きずって展開される座頭市シリーズの第4作で、万里昌代演じるおたねが第1作以来で登場する。
監督 田中徳三
原作 子母沢寛
脚本 星川清司
撮影 牧浦地志
音楽 伊福部昭

出演 勝新太郎
    高田美和
    万里昌代
    成田純一郎
    小林勝彦
    北城寿太郎

 

 

 

座頭市兇状旅

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 座頭市は徒歩で基本的には関八州を回っている。したがって、それほど違う場所に移動するわけではない。今回身を寄せる上州下仁田はおそらく群馬県の下仁田なのだろう。そこにやってくる文殊の喜助というのが何者かはわからないが、第1作と第2作で登場した飯岡助五郎の兄弟分といっている。飯岡助五郎は上総の土地に実際に伝説のある人物なので、今の千葉県北部の飯岡を舞台にしていることは間違いないだろう。
 さらに、第3作では市は生まれ故郷である笠間(茨城県)に向かう途中、鬼怒川(栃木県)に投宿し、そこでであった師匠に市が剣の修行をした下館(茨城県)に連れて行かれる。つまり、座頭市は今で言う北関東の辺りを回っていて、その辺りの親分衆とはいろいろいわくがあるということだ。この作品では一瞬ではあるが国定忠治も登場し、続くシリーズに期待を持たせたりもする。
 このように舞台を限定して物語を展開させるのも、座頭市シリーズを互いに関係しあうひとつの映画集合として、観客をひきつけるひとつの方法であるといえる。座頭市の目になる観客たちは、以前の作品で訪れた場所を市がまた訪れたとき、以前の作品で出会った人たちにまたであったとき、何かが起きる予感を感じ、すっと作品に引き込まれるのだ。

 ところで、座頭市の物語に常にどこか暗い影が付きまとうのはなぜか。この作品でおたねが「女とは業の深いものなのよ」という。座頭市は小幡屋の親父に、「目明きは欲が深くっていけねえ」という。この「業」と「欲」という人間の暗い部分が座頭市の物語には付いて回る。あまりにまっすぐな人間である座頭市だが、決して常に正義感であるわけではなく、まっすぐであるが故の「業」を背負い、仁義と人情を破る「欲」に対しては感情を爆発させる。
 座頭市が悪人をばったばったと切るとき、それは「正義」に突き動かされているのでもなく、「欲」に突き動かされているのでもなく、ただ「業」がそれをさせずにはおかないのだ。だから座頭市はヒーローにもなれないし、悪人にもなれない。常に数人の人にとってはヒーローになるけれど、周囲には恐怖の噂を撒き散らすだけなのだ。そしてさらに「業」を背負い、世の中の影を歩き続けるしかない。
 などと思ったのは、この作品で敵役として登場する剣の名人の三一(三一侍、つまり食いっぱぐれているような侍のこと)のキャラクターの設定の仕方だ。姿かたちや雰囲気からは第1作の平手造酒のように座頭市の好敵手となり、また悲しい物語が展開されるのかと予想される。しかし実際はこの三一は「欲」の塊であり、仁義や武士道とは無縁の存在なのだ。そんな三一の「欲」に市は翻弄され、感情を爆発させる。