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座頭市物語

2004/1/22
1962年,日本,96分

 
            
     
 
 座頭市と名乗る盲目の男がやくざの親分飯岡助五郎を訪ねてきた。親分が帰ってくるのを待つ市は鉄火場で丁半博打に手を出す。助五郎の手下たちは市がめくらなのをいいことに金を巻き上げようとするが、市はそれを逆手にとって手下たちの有り金を巻き上げてしまった。引き上げようとする市はちょうど帰ってきた親分にであり、とりあえずわらじを脱ぐことに。
 座頭市シリーズの記念すべき第一作。白塗りの美男子として今ひとつスターになりきれなかった勝新太郎を一躍大スターに押し上げたヒットシリーズ。さすがにその第一作だけあって話しの造りにも力が入っており、見ごたえ十分。
監督 三隅研次
原作 子母沢寛
脚本 犬塚稔
撮影 牧浦地志
音楽 伊福部昭

出演 勝新太郎
    万里昌代
    天知茂
    島田竜三
    南道郎
    真城千都世

 

 

 

座頭市物語

座頭市物語

 

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 座頭市の物語はどれを見ても基本的には同じ話である。しかし、この作品は第一作だけあってその物語を模索している。座頭市というめくらでやくざだけれど、やくざであるだけにやくざとしての仁義は通すというキャラクター。そして居合い抜きの名人。そのあたりまではこの時点で固まっていた。そして、博打好き、釣り好きというキャラクターの兆しも見える。女好き、酒好きもやぶさかではないが、それよりも非常に硬派なイメージが強い。
 そして、シリーズが進むにつれ座頭市は絶対的な存在になっていき、ひとりのヒーロー(ある意味ではアンチ・ヒーローであるが)の物語となるわけだが、この作品には平手造酒という好敵手が登場する。この平手造酒は、続く2作にも絡んでくるキャラクターであり、この平手造酒が座頭市を本当の座頭市にしたといっても過言ではないだろう。つまり、本当はこの作品は『前・座頭市物語』であるはずであり、この次の『続・座頭市物語』からが、本当に座頭市の物語であるといえるのだと思う。あるいは、もっと厳密に言うなら、第4作の『座頭市兇状旅』ではじめて本当の座頭市のパターンが確立されたというべきか。
 とにかくそのようにして、キャラクターの構築や人物関係の設定が不完全であり、だからこそ面白い。シリーズが進み、座頭市の伝説が伝わり、超人のようになってしまうことで失われてしまうものもあるということだ。座頭市はどこまでも人間くさい人間ではあるが、この作品では特に人間くさい。自分に自信を持っていることは確かだが、いろいろと迷っていることも確かである。そんな座頭市は超然としている座頭市よりもはるかに魅力的だ。

 ということになるわけだが、この映画はかなり気合が入った映画である。同年に続編ができていることからして、制作段階ですでにシリーズ化が決まっていたと推測できるが、だからなのかどうなのか、かなりじっくりと作りこまれている。
 なんといっても光の使い方が非常にうまい。舞台装置などは一般的な時代劇のセットを使っているのだが、光の濃淡が非常に濃くて、人物を際立たせて見せたり、隠して見せたりといろいろと工夫している。主人公の座頭市が盲目であることを考えると、このように光の使い方に工夫をするというのはなにか思わせぶりである。クライマックスのひとつともいえる月夜のシーンでは、光と闇のことが市の口に上る。その光の使い方をはじめとして、映像もかなりいい。殺陣のシーンはあまりないが、その迫力は勝新やほかの人たちの演技ゆえというよりはカメラワークの妙。アングルや構図によって魅せる映像である。とくに座頭市は仕込み杖を逆手に構えるので刀を構える相手とは対照的な形になり、非常に美しい構図が生まれるのだと思う。
 せりふの一つ一つも気が利いているし、本当にいい映画です。