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夫婦善哉

2003/10/28
1955年,日本,121分

 
            
     
 
 化粧問屋の若旦那柳吉は売れっ子芸者の蝶子に入れあげ、父親に勘当されてしまう。柳吉は蝶子とふたり駆け落ちすることにし、柳吉に惚れ込んでいた蝶子もそれを受け入れて二人で暮らし始めた。しかしもともとがボンボンの柳吉は働きもせず、蝶子は再び芸者として働き始める。家にいつかは帰れると思っていた柳吉だったが、妹の筆子が婿養子を迎えることを知って絶望してしまう…
 織田作之助の名作『夫婦善哉』の映画化。森繁久彌と淡島千景が微妙な関係の二人を好演。
監督 豊田四郎
脚本 織田作之助
撮影 三浦光雄
音楽 團伊玖磨

出演 森繁久彌
    淡島千景
    司葉子
    浪花千栄子
    田村楽太
    三好栄子

 

 

DVD/ビデオ未発売

 

 

 
 映画が面白いというよりは、話が面白い。2時間という時間にすっきりと収まるし、その中で波乱もあり、盛り上がりもある。中心となるふたりの関係性も微妙なままさまざまに変わっていき、そのまわりの人たちの対応や構成も徐々に変化していく。決してドキドキはらはらというサスペンスフルな展開ではないけれど、いかにも日本映画というしっとりとしていながらしっかりとした展開力が面白い。
 あくまでもふたりの物語であるわけだが、実際のところ主人公は蝶子のほうである。そしてその蝶子を演じる淡島千景がすばらしい。とにかく美人だというのもあるけれど、表情の変化でさまざまな感情を表現していく。森繁のほうは演技しているのかしていないのかわからないような感じだが、その組み合わせがなかなか面白い。
 面白いといえば、蝶子の両親も面白い。テンプラ屋をやっている両親を演じるは田中楽太と三好栄子である。田中楽太のほうはほとんどイメージがないが、おそらく東宝の大部屋役者さんでしょう。三好栄子のほうはいかにも意地悪ばあさんという役どころがさまざまな映画で印象的である。ので、この映画でも意地悪な役なんじゃないかと思ってしまったが、それほどでもなかった。しかし、このふたりは非常にいい味を出している。このふたりからどうして蝶子のような美しい娘が生まれたのかは別にして、その店の雰囲気というか空気感がなんともたまらない。もちろん監督の撮り方の妙味もあるわけだが、いかにも貧乏で、貧乏がゆえに卑屈ではあるが、決して悪い人ではない。そんな人柄が見事に出て、蝶子の性格にも説得力を与えている。
 ということで三好栄子ですが、三好栄子といえば印象にあるのは何といっても黒澤作品。『野良犬』や『どん底』の印象が強く、決して大きな役ではなくともその印象は強烈なのだ。
 同じく名脇役といえば山茶花究も好きです。