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ディナーラッシュ

2003/4/11
Dinner Rush
2001年,アメリカ,99分

 
            
     
 
 ニューヨークのイタリアン・レストラン“ジジーノ”はオーナーのルイスの息子ウードがシェフになって好評を得て、客入りも好調。しかし、あるよ、ルイスの古くからの友人で経営のパートナーでもあり、賭けの胴元でもあるエンリコがクウィーンズの新手のギャング“ブラック&ブルー”によって殺されてしまう。その翌日の夜、“ジジーノ”にはさまざまな客が押しかけ、店はてんやわんやの大騒ぎになる…
 ミュージック・ビデオやCMの世界では著名なボブ・ジラルディの事実上のデビュー作(80年代にB級映画を1本撮っている)。レストランの1夜を舞台にしながら、非常にスピーディーでスリリングな展開を楽しめるグルメ・サスペンス。群像劇でもあり、心理劇でもあるそのあたりの操作が見事。
監督 ボブ・ジラルディ
脚本 リック・ショーネシー
    ブライアン・S・カラタ
撮影 ティム・アイヴェス
音楽 アレクサンダー・ラサレンコ

出演 ダニー・アイエロ
    エドアルド・バレリーニ
    カーク・アセヴェド
    ヴィヴィアン・ウー
    サマー・フェニックス

 

 

 

ディナーラッシュ スペシャル・エディション

 

 

 
 見終わってまずの感想は、「久しぶりに気の利いたシナリオの映画を見た」というものでした。群像劇で、複数のプロットがあって、それを絡み合わせてひとつの物語にする。そしてそれを映画の時間の中に収める。これだけのことをしっかりとやっているのがこの映画。MTVやCMの出身というと奇抜な発想や、流麗な映像で自分の出自を主張するものが多いという印象がありますが、この映画はしっかりとプロットで勝負するしっかりとした映画。キャストの選び方もかなり渋く、監督とキャスティング・ディレクターが肌で感じているNYをキャストによってうまく表現したという感じです。特にダニー・アイエロとヴィヴィアン・ウー(ウェイトレスのニコーレ)がよかったですね。ダニー・アイエロはいわずと知れたイタリアン・マフィア脇役としては屈指の名優、ヴィヴィアン・ウーというひとは、『ラスト・エンペラー』に出ていたらしい(たぶん子役、記憶なし)
 話はプロットのほうに戻って、この映画は一見ばらばらに見えるプロットが最後には一つの終わりに向けて収束していくというもので、こういうプロットは見ていて非常に気持ちがいい。物語としての盛り上がりは必ずしもすごくあるというわけではないけれど、見終わってなんだかすっきりなのです。

 さて、プロットがそのようにすばらしいのでそこにばかり心が奪われてしまうわけですが、この映画は映像もなかなかすばらしい。とくに、ある意味では料理の映画であるだけに、料理がとてもおいしそうだし、厨房のスピード感なんかも出ている。料理がおいしそうに映るのは照明の当て方がうまいからでしょう。非常に光量を多くして、料理の色が鮮明になるようにしています。厨房のスピード感のほうはおそらくステディ・カムによるもの。これはカメラマンの体にカメラを固定して、カメラの操作性を上げたもので、『ER』などのTVドラマで多用されている方法です。
 つまり、これまでに見につけたいろいろな方法論を映画に持ち込んできて、うまく組み合わせているのだと思います。もちろん、照明もカメラもそれぞれスペシャリストがいるわけで、その人たちの技術にもよるわけですが、いかにアイデアを組み合わせてひとつのまとまりにしていくのかというのは監督の力量にかかってくるのです。その意味でこの監督はかなり上手だと思います。多分この映画で結構監督の依頼も来るだろうということで、これからが楽しみ。