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恋愛回遊魚

2003/2/4
起毛球了
2000年,台湾,60分

監督
ウー・ミーセン
脚本
ウー・ミーセン
撮影
ルーク・チェン
音楽
ジェフリー・チェン
ジェフリー・チャン
出演
ツァイ・ツェンリャン
チャン・ジャーホイ
イェ・シャオフー
イー・ツーイェン
preview
 失業中の歯医者と名乗るが実際は何もしていない男萬(ワン)はフライトアテンダントの彼女ア・メイと同棲中。そのワンがCMにも出演する自称レズビアンの美しい女子高生ミャウミャウと出会う。ミャウミャウは彼女のふられた夜、電話で萬を呼び出す。そしてその夜一晩中付き合った萬の心に徐々に彼女に対する恋心が生まれていく。
 台湾のCMディレクターとして有名なウー・ミーセンの劇場デビュー作。90年代の香港映画のような何気ない雰囲気で一本の映画を作ってしまったという感じ。私的な言葉を過剰に盛り込むのも90年代の香港風。
review
 台湾というと、ホー・シャオシェンにエドワード・ヤン、結構どっしりとしたイメージの巨匠がいる。そして、チャン・ツォーチなど最近出てきた監督もなかなか重厚な作品を作る。
 そんなな過去の映画はあまりに軽く、あまりに香港じみていて、しかもウォン・カーウァイのようなスタイリッシュさにかけている。それは日本映画の一部にある香港スタイルの真似に近い非常に居心地の悪いものだ。ストーリーがわからないとか、どこまでが現実なのか判然としないとか、そういうものがこの映画にあり、それが一種の語りの不思議さを生んで入るけれど、そのような不思議さで一本の映画を作るというのは香港映画がすでにやりつくしてしまったことで、いま同じことをしてもそこに何か新しいものが生まれるとは思えない。
 断片的な夢を集積して辻褄の合わないひとつの物語を紡ぐ。しかも出演者は非常に限られ、場所も特定されず、時間もわからない。ここにあるのはただそれだけのことだ。
 そして夢のような雰囲気をさらに高めようとするかのように、明確な意味を持たない私的な言葉が次々と発せられる。物語を作るコミュニケーションとしてではなく、ひとつの断片の雰囲気を形作るイメージとして一つ一つの言葉がある。このような言葉のあいまいな使い方を可能にするためは観客を引き込むひとつのプロットが必要だと思う。ひとつのプロットで観客を引っ張りながら、それぞれの断片に余韻を作る。そのような手法をウォン・カーウァイをはじめとして90年代の香港の監督たちは確立したはずだ。この映画はその手法にまでもいたっていない、ただのイメージの集積。そこからは何も伝わってこず、ただ言葉やイメージだけが浮遊するだけだ。

 ただひとつ、この映画を見て面白いと思ったのは、画面が非常に狭いということ。画面の中に常にあまりに多くのものがつまり、画面に隙間がない。人やものを近くで撮り、画面の空白をどんどん埋めていく。そのような画面の連なりは視覚狭窄に陥ったかのような圧迫感を与える。そのような画面の作り方というのはあまり見たことがないので、ちょっと面白かった。
 そんな画面の雰囲気を生かして、もっととげとげしい映画にしたほうが面白くなったのではないかとも思う。
Database参照
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国別・年順: 台湾

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